夜の世界にかがやくのは、星と白亜の建物、
そして、子ども達の笑顔でした。
夜の世界は終わりが見えなくて、
白い建物はなぜか大きな穴があいていたりして
壊れているし、子ども達以外にひとっこひとりいません。
それにここがどこなのかも、知りませんでした。
それでも、子ども達が笑っていられるのは、
ひとりじゃなかったから。
そして、ひとつだけ
子ども達に与えられたものがあったからでした。
それは、「名前」でした。
この終わりが見えない夜の世界も、「名前」のことを考えれば
胸がじんわりとあたたかくなるような気がしました。
それは子ども達みんながいっしょの気持ちで、夜の風に乗せて
確かめるように、何度も心の中で自分の「名前」をつぶやくのです。
夜の世界に金色の髪を輝かせているのは「ベル」
肌の色が夜の世界に似ていても とりわけ笑顔が明るいのが「アンリ」
ふんわりと笑う茶髪の男の子が「イアン」
闇色の長い髪が、夜にとけこみそうな女の子が「ユキ」
この4人が出会ったのは、すこし前のことです。